こんにちは!
今回は、ゆにわマートスタッフの
佐藤想一郎が担当します。
以前、ゆにわマートスタッフで、
お線香を作っている
梅薫堂(ばいくんどう)という
会社を初めて訪問しました!
このページを読んでくだっているみなさまにも、
ゆにわマートでは
どんな想いで商品を選んでいるのか
少しでも知っていただけるように
今回は、梅薫堂さんの訪問レポートを書いてみました。
* * *
「線香」と聞くと、仏事で使うイメージがある方も
いらっしゃるかもしれませんが、
癒しや開運アイテムとしても使うことができます。
また、良い香りは、
昔から邪気払いとしても使われてきました。
たとえば地鎮祭では、悪い気が入らないように
四隅で線香を焚きます。
空間が良い香りで満たされていたら、
それが悪い気から守る「バリア(結界)」になるのですね。
梅薫堂のお線香は自然な香りで、
消臭・浄化力も高いものが多く、
ゆにわマートではかなり初期の頃から販売していました。
▼消臭効果が高い、梅薫堂の「備長淡麗シリーズ」は、 ゆにわの各店舗でも使っています
(この写真は森の香りですが、
他にも白檀や、ラベンダー、梅の香りなどがあります)
訪問するきっかけになったのは、
梅薫堂の専務取締役である吉井さんが
ゆにわマートにご挨拶にいらしてくださったことから。
最初は軽くご挨拶・・・
という流れだったのですが、
お線香について2時間ぶっ通しで語ってくださり、
どんな角度から質問をしても、
情熱的に答えてくださったのです。
お線香の材料や工程、1つ1つに意味があり、全ての商品に個性がある。
吉井さんから商品に対する深い愛が伝わってきました。
そこで今度は、ゆにわマートスタッフが
梅薫堂さんにお邪魔させていただくことになり、
私も撮影スタッフとして同行しました。
梅薫堂は、嘉永三年(1850年)に創業。
淡路島を拠点として
線香を販売している老舗企業です。
梅薫堂のお線香の調香は、
代々、社長さんがするそうなのですが、
吉井社長が高校生のときに、
先代の社長が亡くなられてしまったそうです。
吉井社長は、先代社長の線香作りは手伝っていましたが、
調香のレシピなど、詳しいことは教わっていません。
「まだレシピを聞いてないのに・・・」
と悩んでいたある日、
なんと夢の中に調香レシピが出てきたのです!
梅薫堂のお線香は
そういったインスピレーションを受けたり、
偶然のご縁でつながったりして
開発が始まることがあるそうで、
そこから、
緻密な研究・開発を積み重ねて作られています。
たとえば、一般的なお線香は材料に
化学香料が使われていますが
梅薫堂さんのお線香は
天然素材にこだわってつくられています。
「お客様のためを思えば、天然素材を使うのは当たり前」
と、商品が届く先のお客様のことを
一心に考えながら作られている姿勢が
言葉からも強く伝わってきます。
▼調香に使う、天然の材料
実は、梅薫堂の線香は、
そう簡単に真似できない特別な技術も使われており、
一部、高級な素材も使われています。
にもかかわらず
「良いものを、多くの人に使っていただきたい」
と考え、手に取りやすい価格にしているのだそうです。
「もっと目立つように、アピールしたらいいのに!!」
と思ってしまうのですが、
社長は
「本当にいいモノはお客様が分かっている」
「最後は、うちの線香にたどり着く人は多い」
と言います。
工場は何箇所かあり、
手作業で線香を作る工場も残っています。
吉井崇行さん(息子さん)の案内で工場に入ると
80代以上の梅薫堂の社員の方々が、
黙々と線香を作っています。
挨拶をすると、笑顔で挨拶を返してくださったのですが、
その後は真剣な眼差しで、ひたすら仕事をされています。
言葉数は少なくとも、
まるでお線香を使う人の幸せを祈るかのような雰囲気が、
その背中や所作から、ひしひしと伝わってきました。
ファインダー越しにその美しい動きを見ているだけで
心が静まるようです。
そして何より印象的だったのが、
専務取締役である吉井さんが、
職人さんたちよりも腰が低く、
「ありがとうございます」「失礼します」
といった声をかけ、気にかけていたことです。
それがあまりに自然だったので、
普段から職人さんたちを尊重されていることが
伝わってきました。
▼はかりを使わずに、竹串1本で一箱分に分けています。職人の技です。
▼線香を束ねるための紙も、1つ1つ手作業で巻いていきます。
この「巻く」工程は、
最初は、素麺に紙を巻く機械でできないか試したそうですが、
機械を使うと
線香が何本か折れてしまいました。
吉井さんは言います。
「素麺だと何本か折れていても気にならないのに、
線香だと数本折れているだけでクレームがきてしまう。
それに、強く巻きすぎると線香が取り出しにくくなり、
逆に弱すぎると線香がバラバラになってしまうんです。
その微妙な力加減は、やっぱり人の手でしかできないんですよね」
とは言っても、
全ての商品や工程を手作業にしたら、
生産量が減ってしまったり、
かたちにバラつきが出てしまったりします。
かたちのバラツキは「味がある」と思う人もいれば、
中には「品質が悪い」と思ってしまう人もいます。
また、線香の種類によっては、硬さの関係で、
機械を使わないと
そもそも作れないものもあるそうです。
そこで、工程が機械化された工場もあります。
こちらの工場では、先ほどの手作業の工程が
そのまま機械化されていました。
少し見えにくいのですが、
下の写真の右奥から線香が素麺のように出てきて板に乗り、
今度はその板を手前に写っているように、自動的に重ねていきます。
もちろん全て機械の力で終わらせるのではなく、
一度は必ず、自然の風に当て、人の目で見ます。
▼積み上がっているのが、線香です。
線香は乾き具合が非常に重要だそうで、
その乾燥具合は、
職人さんが休みの日かどうかに関係なく、
自主的に見にきて「目視」で繰り返し確認していると言います。
「心配で仕方がない」
そんな、まるで我が子を見守るかのような気持ちなのかもなぁ、
と想像していました。
* * *
工場から梅薫堂の会社への帰り道。
距離があったため、
吉井さんは私たちを車に乗せてくださいました。
車の窓は開いていて、外からは線香の良い香りが漂ってきます。
街全体が香りで守られているのか、
不思議な安心感がありました。
梅薫堂さんのある地区には、
ほかにもたくさんお線香メーカーさんが集まっていると言います。
観光庁の「かおり100選」にも認定されているとか。
淡路島の香り文化をたどってみれば、
なんと奈良時代にまでさかのぼるそうです。
吉井さんは、
「日本書紀にはすでに、
淡路島と香りの関係が記されているんですよ」
とおっしゃいます。
こんなお話でした。
「奈良時代、推古天皇のころ、
ひと囲いほどの香木が淡路島に漂着しました。
当時の島民は、香木というものを知らず、薪と共にかまどで焼きました。
すると、その煙は遠くまで類い希なる良い薫りを漂わせたのです。
これは不思議な木だと思い、朝廷に献上。
これが淡路島と香木との最初の出会いなのです」
淡路島の枯木神社では、香木伝来伝承地として、
人の体の大きさくらいある香木(枯木)を
ご神体として祀っているというのです。
まさに、1300年以上も昔から
淡路島は「香りの島」になるべくして、
神様からお役目をいただき、導かれてきたのです。
▼淡路島の枯木神社
淡路島って、まさに「香りの島」なんですね。
そんな話を聞きながら、ぽつりと
「街全体が、線香の香りがするんですね」
と言うと、
吉井さんは笑いながら
「ここにきた人はみんなそう言うのですが・・・
僕らはもう線香の香りに慣れすぎちゃったのか、
香らないんですよね」
とおっしゃいます。
ご本人にとっては当たり前のことで
なんてことはないのかもしれませんが、
自然とこういう言葉が出るくらい
線香を作る仕事が、
生きることと一体になっているのだな、
と感じました。
* * *
家に帰ると、ずっと使っている、
梅薫堂の線香が目に入りました。
同じ「線香」でも、梅薫堂に行く前と後では、
全く違うもののように感じました。
「どれだけの人が、
どれだけの思いをこめて
どれだけ時間をかけて作ってきたのか・・・」
その背景を感じることで、胸が暖かくなりました。
周りを見渡してみると、
他にも購入したゆにわマートの商品が。
「1つ1つに作り手の思いや壮大なストーリーがある」
それは頭では”知って”いたことではありましたが、
梅薫堂さんにお邪魔したのをきっかけに、
より臨場感を持って感じられるようになりました。
そして後日・・・
なんと梅薫堂さんとゆにわとのコラボのお線香も
できました!
煙の有無 | おすすめの用途 | |
少ない | 毎日のお掃除に お部屋の消臭・清浄 |
|
有り | お部屋やトイレの浄化 | |
有り | 香りを楽しむ お客様をお迎えするとき |
他にも、ゆにわマートには、
素敵なエピソードがつまった商品がたくさんあります。
ゆにわマートのお店にお越しになった際には
ぜひスタッフから話を聞いてみてくださいね。
「モノ」の見方が変わるきっかけになるかもしれませんよ。
それでは、読んでくださり、ありがとうございました。