こんにちは、山田夕夏です。
ゆにわマートでは、梅薫堂さんとの共同開発によって、3種類のオリジナルお線香を販売しています。今回は、それらを開発した経緯についてお伝えします。
インスピレーションを大切にできる関係
それは、ゆにわマートスタッフが初めて梅薫堂さんを訪問した際のこと。社長の吉井廉人さんにお会いするにあたり、わたしは、2018年の伊勢神宮参拝の際に調香した『月の魔力』という香りを持っていきました。
お線香と香水、表現は違えど調香をするものどうし。今回の訪問では、吉井さんがどのように調香をする方なのかを知るとともにわたしが、日々何を大事にして香りと向き合っているのか
そして、北極流の香水とはどんなものなのかを知ってもらいたかったからです。
梅薫堂さんの工場を見学させていただき吉井さんから、お線香づくりについてお話を伺ったあと、わたしは、実は・・・とバッグから『月の魔力』を取り出して、吉井さんにお渡ししました。

すると、その場で香りを嗅いでくださり「伊勢の参道の香りがするね」と言ってくださったのです。
わたしは、吉井さんが何と言ってくださるか内心、楽しみだったのですが、これには感激しました。
吉井さんは、お線香づくりにおいてインスピレーションをとても大切にしている方。
なんの説明もなく、香りのイメージが伝わってしまうくらい波長が合うといいますか、調香の感覚が似ていることがわかり・・・
わたしは思わず、「ゆにわのオリジナルお線香をつくりたいんです。力を貸してもらえませんか?」とお願いしたんです。
そして後日、出来上がったのが、梅薫堂さんとゆにわが初めてつくったお線香、「ゆにわの線香 樹木の香り」です。

森羅万象のエネルギーを感じるお線香
「ゆにわの線香 樹木の香り」は、樹齢1000年から3000年という、とても希少な古代檜(ヒノキ)の精油が使われています。
日本では、まず手に入らないものなのですが梅薫堂さんを訪問した翌日、ゆにわとご縁のある方が、たまたま、台湾産の古代檜の精油を持ってきてくださったのです。
何千年もの間、大地のエネルギーを吸収してきた古代檜には、森羅万象の〝気〟が含まれています。
吉井さんは、「日本のヒノキとはまた、違った香りがしますね」と言ってくださり、試作を重ねながらヒノキの清々しさが空間いっぱいに広がるお線香に仕上げていただきました。
そして、その流れで第2弾をつくることが決定。
「ゆにわのお線香 まこも」です。
神社の空気をつくる「まこも 」のお線香
まこもは霊草ともいわれていて出雲大社のしめ縄に使われているくらい神社と縁が深く、非常に浄化力がある植物として知られています。
ゆにわでも、以前から「まこものオリジナル商品を作りたいね」という話が出ていて、「梅薫堂さんにお願いしよう」という運びになったんです。
まこものお線香も、試作段階で何回もお線香を焚いて、焚いた前と後での空気の違いを体感しながら香りの配合を決めていきました。
吉井さんからは、「今までにない香りですね」といっていただきました。
まこものお線香は、いまやゆにわマートの空間づくりにおいても欠かせないアイテムとなっています。
未来に咲く花をイメージした「蓮」のお線香
そして2022年は、コラボお線香の第3弾として「ゆにわのお線香 蓮」をつくりました。
オリジナルのお線香が、ヒノキ、まこもと続いたところで「花のお線香があるといいね」というのと、ゆにわの半年間講座で「最澄と空海」がテーマだったことから仏教ともなじみの深い、蓮のお線香をつくることになったんです。
蓮の花は、泥水の沼や池のなかからスッと茎を伸ばし、その先に、清楚な花を咲かせます。
これって、わたしたちも一緒だと思いませんか?
人間にとって、泥は、嫌なもの、辛いものなのかもしれません。ですが、辛い時代を乗り越えたからこそ、誰かの気持ちに寄り添うことができたり、暗闇を照らす、優しい月明かりのような存在になれる・・・
そんなふうに思うのです。
実は、吉井さんも似たようなことを考えていたそうで、こんなふうに仰っていました。
「(香りの原料となる)香木は、一見したら、ただの〝木の皮〟だけどわかる人が見たら、価値がある」
一見、無駄のように思えることが、実は大きな可能性を秘めていることを教えてくれるのだなと感じます。
そんな、想いをひとつにスタートした蓮のお線香づくり。
吉井さんからは、梅薫堂さんでつくっている3種類のお線香、「蓮の香り」「白檀」「沈香」のうち2種類を選んで組み合わせてはどうかとご提案がありました。

▲3種類のお線香
選ぶためには、一緒に焚いてみるのが一番です。それで、いくつか試してみたものの、何か足りない。
もっと蓮らしい香りにするには・・・?と、そのとき、パッと閃いたのです。2種類ではなく、3種類を一緒に焚いてみては?
そこで実際に併せて焚いてみると、なんともいえない、いい香りでした。
▲試作段階では、有煙、無煙など数種類をつくりました。
3種類の香りをすべて使いたいというのは、理屈ではなく閃きからでしたが、吉井さんが、わたしの閃きに賛同してくださり最終的に、3種類すべての香りを少しずつ練り合わせることになりました。
そのおかげで、イメージしていた蓮のお線香が出来上がりました。
このように、「ゆにわのお線香」は、自然な流れでご縁がつながって誕生しました。
甘く上品で、華やかな香りを、ご自身の未来に見立てて、堪能していただけたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
プロフィール
山田夕夏(やまだ ゆか)
北極流調香師。六龍の香り、神社の香りなどを調香。香りで目指すのは、まるで神様に出会ったかのような感覚を味わってもらい、生き方すらも変えてしまうことを目指す。近年では、素肌力を高めるスキンケアラインの開発にも携わっている。