【連載】人生を変える「音」の神秘 Vol.1 ── 現代人を静かに襲う〝見えない波〟の正体

【連載】人生を変える「音」の神秘 Vol.1 ── 現代人を静かに襲う〝見えない波〟の正体

「静かなはずなのに、頭の中でなにかが鳴っている気がする」「高層階に引っ越してから、なぜか疲れが取れない」
もし、そんな感覚を抱いているとしたら──。それは、けっして気のせいではありません。

現代、とくに都市部に住むわたしたちは、人類史上かつてない「見えない波」の嵐のなかに立っています。
ゆにわマートがお届けする、「音」と「オーディオ」の本質に迫る新連載。
第1回は、わたしたちの眠りを妨げるものの正体と、空間を変える〝本物の音〟の物理学についてお話しします。

憧れの空は「電波のジャングル」だった

見晴らしの良い高層マンション。誰もが憧れるその場所は、じつは電磁波の観点から見ると、地上よりも過酷な環境にあることをご存知でしょうか。

携帯電話の基地局アンテナは、ビルの屋上など地上20〜50メートルの高さに設置されることが一般的です。
その結果、タワーマンションの中層〜高層階(とくに6階〜20階付近)は、周囲に遮るものがない状態で、基地局のアンテナと見通し線で直接つながってしまうのです。

ある調査によれば、都市部の高層階における電界強度は、地上レベルと比較して著しく高くなることがあります。これは、アンテナの放射パターンが水平方向に強く指向性を持つため。
高層階の住人は、実質的に「通信インフラのネットワーク層の内部」に住んでいる状態になっているのです。

高層ビルに電波が集中しているイメージ図

さらに、最新の5G通信では「ビームフォーミング」という技術が使われています。これは特定の端末に向けて電波を鋭く集中させる技術。
窓の外から飛んでくる強力なビーム、そして気密性の高い室内で乱反射する無数のWi-Fi。
わたしたちはいま、あたかも「電子レンジ」の中に住んでいるような、逃げ場のない「電磁波の飽和状態」にあると言っても過言ではありません。

「Wi-Fiの檻」という現実

高層マンションの電磁波環境には、もうひとつ見過ごせない要因があります。それは、外部からの電波ではなく、建物内部で生成される「Wi-Fi信号の過密状態」です。

戸建て住宅であれば、検知できるWi-Fiネットワークは近隣の数件程度でしょう。しかし、数百世帯が居住する高層マンションでは、一室においてなんと数十から100以上のアクセスポイントが検知されることも珍しくありません。

少し専門的な話になりますが、2.4GHz帯のWi-Fiには、互いに干渉しない独立チャネルがじつは3つしか存在しません。
そのため多くのルーターは、干渉を回避して通信品質を維持しようと、自動的に送信出力を最大化します。
その結果、各住戸のルーターが互いに大声で叫び合うような状態に。

さらに問題なのは、現代の高層建築に使われる鉄筋コンクリートや、断熱性を高めるためのLow-Eガラス(金属酸化物コーティング)の存在です。
これらは外部からの電波を減衰させる効果がある一方で、室内で発生したWi-Fi、Bluetooth、コードレス電話の電波が、室外に逃げることができなくなります。

室内でWi-Fi電波が反射しているイメージ図

壁面や窓ガラスで多重反射を繰り返し、室内には定在波が発生。局所的に電界強度がきわめて高い空間が形成される可能性があるのです。
気密性の高い現代の住宅で、わたしたちは「電磁波が逃げ場のない箱」のなかに閉じ込められているとも言えるでしょう。

無音なのに「音が聞こえる」ミステリー

「寝室に入って電気を消しても、なんだか空気がザワザワしている」「キーンという耳鳴りのような音がして眠れない」
こういった実際に音は出ていないはずなのに、脳が「音」として認識してしまう不思議な現象には、科学的な説明があります。

それが「マイクロ波聴覚効果(フレイ効果)」と呼ばれるものです。
パルス変調されたマイクロ波(たとえばWi-Fiや5G信号)が頭部に当たると、脳組織がごくわずかに──およそ100万分の1℃ほど──急速に熱膨張を起こします。
この微細な膨張が圧力波となって骨を伝わり、内耳の蝸牛に到達することで、実際には音が出ていないのに、脳が「クリック音」や「ブーンという音」として知覚してしまうのです。

電磁波が脳に作用して音として認識されるフレイ効果の図

この効果を発生させるには、本来、かなり強いパルス状のパワーが必要とされています。
しかし、現代の高層住環境では、さまざまな電磁波が複雑に存在しています。耳は静寂を感じているのに、脳はノイズを感じている。この感覚のねじれこそが、原因不明の不眠や、終わらない疲労感の正体かもしれません。

特に過敏な方は、このノイズを感じやすいかもしれませんね。
もちろん、この現象のすべてが電磁波によるものと断定することはできません。科学的には、いまだ確立されていない部分もあります。
しかし、「なにかおかしい」と感じている方の感覚は、けっして否定されるべきものではないと思います。

「切り裂く波」と「包み込む波」

ここで少し「波」の正体に迫ってみましょう。
じつは、「電磁波」と「音波」は、同じ波でもその性質がまったく異なります。この違いが、生体への影響の違いを生む根源となっています。

電磁波=横波(よこなみ)
横波はロープを上下に振ったときのように、進行方向に対して 垂直に振動 します。
真空中でも伝わることができ、物質を貫通する力があります。金属などの導電性材料に当たると反射・吸収されやすい一方で、非導電性の物質には透過しやすい。
鋭く切り裂くようなエネルギーを持ち、現代の都会を満たしているのは、この「横波」です。

音波=縦波(たてなみ)
一方、縦波は空気などの媒質を、ギュッギュッと圧縮・膨張させながら進む「疎密波(そみつは)」です。進行方向と平行に振動し、真空中では存在できません。
これは空間そのものを震わせ、 包み込むように伝わります 。
遮蔽物があっても、媒質(空気や固体)を振動させて反対側にエネルギーを伝達するため、電磁波よりも「逃げ場がない」という性質も持っています。

横波と縦波の波形比較イメージ

左:横波のイメージ 右:縦波のイメージ

なぜ、この違いが重要なのか。

興味深いことに、性質の異なるこの二つの波は、細胞レベルではある共通のルートを持つことがわかっています。
音波(縦波)は、細胞膜にある機械受容チャネルを物理的な振動で刺激し、カルシウムイオンの流入を促します。一方、電磁波(横波)は、電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)というスイッチに作用し、意図しない過剰なカルシウム流入を引き起こす可能性が研究されています。

どちらも細胞内カルシウム濃度の変化を生む点では同じです。しかし、そこには決定的な違いがあります。
電磁波による刺激が、細胞にとって予測不能な「ノイズ(緊張)」となりやすいのに対し、自然な倍音を含む豊かな音波は、乱れた細胞のリズムを整える「調律(リラックス)」として作用し得るのです。

ノイズによる細胞ストレスと音波による調和の比較イメージ

わたしたちの体は日々、鋭い「横波(電磁波)」の干渉を受け、知らず知らずのうちに強張っています。
だからこそいま必要なのは、その緊張を内側から解きほぐし、空間ごと優しく包み込んでくれる「縦波(響き)」なのです。

ヒトラーが愛用した「マイク」の秘密

縦波の「音」が持つエネルギーの凄まじさは、歴史が証明しています。
その最たる例が、20世紀初頭のアドルフ・ヒトラーです。彼は演説において、当時の最先端技術を徹底的に利用しました。
彼が愛用したノイマン社の「CMV3」という高性能マイクは、その形状から通称「 ヒトラー・ボトル 」と呼ばれました。

ヒトラーが演説で使用しているマイクの写真

このマイクには、「プレゼンス・ピーク」と呼ばれる特徴的な周波数特性がありました。2kHz〜5kHzという中高音域をわずかに強調する設計です。
この帯域は、人間の聴覚がもっとも敏感に反応し、心理的な「近さ」や「権威」を感じさせる周波数帯。子音の明瞭度(聞き取りやすさ)や「音の近さ」を司る領域です。

つまりこのマイクは、ヒトラーの声を単に増幅するだけでなく、群衆一人ひとりの耳元でささやいているかのような「親密さ」と、ノイズを切り裂いて届く「権威的な鋭さ」を音響的に付与したのです。

しかし、マイク一本では数十万人を熱狂させることはできません。その声を広大な会場の隅々まで届けるために、背後で技術を振るったのが、ドイツの巨大企業「 シーメンス(Siemens) 」でした。
当時、ノイマンのマイクを世界的に販売・管理していたのは、シーメンスの合弁会社であるテレフンケン社です。彼らはニュルンベルクの党大会において、シーメンスの技術力を結集した「分散型音響システム」を構築しました。

地面から生えたような不気味な「キノコ型スピーカー」などを会場全体に緻密に配置し、音の遅延(ズレ)を極限まで制御。数十万人の聴衆に対して、姿が見えなくても「遅延なく、同時に」声を届けることで、群衆の呼吸と心拍を強制的に同期(シンクロ)させたのです。
個人の理性を、巨大な音の波で飲み込み、ひとつの「塊」にしてしまう。音は、使い方を間違えれば、ひとの心を乗っ取る「武器」になり得る。それほどまでに、音(縦波)は人間の深層意識にダイレクトに作用するのです。
(この話はさらに深掘りすることが出来るので、また次回以降で詳しくお届けします。)

オーディオは「空間の浄化装置」である

このように音は、かつて支配のために使われました。しかし、わたしたちはその強大なエネルギーを、癒やしと調和のために使いたいと考えています。
本来のオーディオの役割とは、単に音楽を再生することではありません。
「電磁波(横波)で荒れた空間に、美しく整った縦波(音)を満たすことで、場のエネルギーを変換すること」
これこそが、提案したいオーディオの使い方です。

リビングルームで良い音が広がり空間を浄化しているイメージ

荒れ狂う海(電磁波)に、鎮静の波紋(良い音)を広げていく。そうすることで、脳の誤作動を鎮め、本来の静けさを取り戻すことができます。
音響心理学の分野では、音の物理的特性だけでなく、その音に対する個人の認知や意味付けが心理的・生理的反応を大きく左右することが知られています。
つまり、「良い音」を浴びることは、単なる「楽しみ」ではなく、わたしたちの身体と心に実質的な変化をもたらすものなのです。

その答えが、スピーカー「SIRIUS(シリウス)」

「都会のノイズに負けない空間を作りたい」
そんな想いから、ゆにわマートでご紹介しているのが、スピーカー「SIRIUS(シリウス)」です。

木製のスピーカーSIRIUSの写真

SIRIUSから放たれる音(エネルギー)は、空気を不自然に切り裂くのではなく、空間全体を柔らかく振動させます。
使っていただいている方からは、スイッチを入れた瞬間に「部屋の空気がスッと澄み渡る」「身体がゆるんでくる」というお声をいただきますが......
それは今回の話の切り口から言えば、電磁波という「横波」で乱された空間が、自然な「縦波」で整えられていくからなのです。

もしかすると、電磁波が多い環境では、SIRIUSからノイズが聞こえることもあるかもしれません。
それは電磁波をキャッチして、良いエネルギーに変換してくれているからとも言えます。(もちろん、SIRIUSをご使用の方で、あまりにノイズを拾いすぎている場合はお問い合わせください。)
そう言った意味で、SIRIUSは単なる「音を出すスピーカー」ではなく、空間のエネルギーを変える装置でもあるのです。

まずは「メビウス」で体感を

まだまだお伝えしたいことは沢山ありますが、理屈はさておき、音は「体感」が大切です。
大阪・枚方にあるわたしたちの施設「メビウス」の1階には、このSIRIUSを贅沢に合計3セット(6台)、空間を囲うように設置しています。
そこは、濃密な「静寂」と「音」が共存する空間。

壁に設置されたSIRIUSスピーカーの写真

まずは一度、身体中の力が抜けていくような不思議な感覚を味わいにきてみてはいかがでしょうか。
それでは今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。

※ プレミアムラウンジメビウスはゆにわ塾会員ご本人さまのみご利用できます。詳しくはこちらからご覧ください。


次回予告: Vol.2では、音が人間の意識に与える影響について、さらに深く掘り下げていきます。なぜ、ある音は心を落ち着かせ、ある音は不安を煽るのか?なぜSIRIUSが、空間を変えるパワーを持っているのか?「音質」の本来の秘密を探っていきます。


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